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アメリカの大学院生として就職活動をしていた頃の思い出 2

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 前回の続きを書きたい。

  2019 年 1 月。アメリカの南カリフォルニア大学(USC)という大学のコンピュータサイエンス修士課程(MS in Computer Science)を修了しようという時期に、僕は就職活動をしていた。ソフトウェアエンジニアのポジションを探しては応募を繰り返していた。同級生たちは夏のインターンシップを経て Google や Amazon のような大企業からオファーをもらっていた。

 結果から述べると、なんとかなった。簡単ではなかったが三つのジョブオファーをもらうことができた。アメリカでソフトウェアエンジニアの職を探している人には参考にしてほしい。

​ NDA もあるので個々の企業について詳細を語るのは避けたい。だいたいの輪郭だけを記すことにする。具体的なことを知りたい人は僕に直接聞いてください。

Puyar with a keyboard

ひとつめのオファーを手にするまで

 ひとつめのオファーはロサンゼルスの小さなスタートアップからもらうことができた。前回書いたとおりだ。大学のキャリアフェア参加が結果につながった数少ない例だ。

 宿題形式の課題が出され、それに合格するとオンサイト面接に臨むことができ、チームにフィットしそうだと判断されるとオファーがもらえる。よくある流れだった。面接の練習を PrampTripleByte などでこなしていたこともあり、ついに最初のオファーをもらえた。 PrampTripleByte についてはまた別の記事に書こうと思う。

 ただ、CEOと給与交渉をしてみると思っていたよりも待遇がよくなさそうなので、最終的には辞退することにした。同時に平行してほかの会社の面接も続けており、オファーをもらっていたので強気に出ることができた。

 ほかのオファーをどうやって手にすることができたか、以下に続けて記す。

日本の知人や初めて会う人にリファラルをもらう

 それまでの経験からリファラルがないと面接までは進めないことがわかっていた。そこで、まずは多くのリファラルをもらうことを目標に行動することに決めた。

 リファラルは要するに応募する企業に勤めている人からの推薦なのだが、格式張ったものではない。アメリカのソフトウェアエンジニア界隈では、なにかのイベントで出会って話をした、くらいのつながりでもリファラルを出してくれる。それだけのことで面接まで進める可能性はかなり高くなる。なおその後アメリカの企業に入社してからわかったのだが、一緒に仕事をしたレベルのリファラルはイベントで話をしたレベルのリファラルとは別扱いになる。たとえば、過去に同じチームで一緒に働いた人から推薦をもらえればそれは非常に強いリファラルとなり、採用の可否において大きなプラスになる。だが、当時の自分にとってはそこまで求める必要はなく、面接まで進めればそれで十分だった。

Shibuya

 2018年年末〜2019年年始にかけて日本に一時帰国した機会に、日本で会える人には会いまくることにした。アメリカでLinkedInなどで英語で見知らぬ人にメッセージを送ってもほぼ無視されるが、日本で日本語のメッセージを送ると、返事をしてもらえることが多かった。アメリカではリファラルを求めてメッセージを送る(Cold messagingというらしい)大学生は山ほどいるが、日本ではそれほどいない。数少ない日本出身者の利点だ。

 アメリカの会社で働いている人で、この機会に会ってくれそうな人にどんどん声をかけてみたところ、予想外に多くの方に会ってもらえることになった。たとえば、全世界で使われる OSS をビジネスにする企業。シリコンバレー発、日本にもオフィスを持つ音声分析のスタートアップ。データ分析基盤を提供する会社。Twitterでフォローしている人にお願いしたり、まったく見ず知らずの人にメッセージを送ったりしたところ、直接会ってオフィスを見学をさせてもらったり、チーム構成や将来力を入れて開発する製品について話を聞かせてもらうことができた。特にこれまで深いつながりがあったわけでもない自分にわざわざ会ってくれてとてもありがたかった。

ふたつめのオファー

 日本でお話をさせてもらった方からのリファラル経由で面接を受け、Mountain View に本社のあるスタートアップからオファーをもらうことができた。すべてオンラインでの面接だったにもかかわらず、これまででもっともよい面接体験だった。

 というのも、面接がフォーカスしている領域がほかとはかなり異なっており、チームの文化へのフィットを重視しているようだった。よくあるコーディング問題はほとんど出題されず、最近追っている技術や働く上で重視していることを互いに話しあうような面接だ。技術力に関しては宿題形式の課題で採点する手法をとっており、コーディングインタビュー独特の苦しさから解放されるのもありがたかった。

 チームをまとめるマネジャーがHiring managerでもあった。彼女の率直かつ丁寧で真摯な説明で、チームの構成、文化、目標、求める人物像など理解することができた。フェアな採用面接だった。最終的にはオファーを辞退したが、いまでももし機会があれば働きたいと思っている。

Mountain View

次回予告

 その後のニューヨークシティでの面接や出会い、給与交渉とスケジューリング、TripleByte、シリコンバレーでのスタートアップと超巨大企業の採用面接について、こちらに書きました